外国人派遣に必要な在留資格とは?メリットや注意点も解説

本記事では、外国人派遣に必要な在留資格について解説します。人材不足が深刻化する中、外国人の受け入れを進める企業が増えています。適切な資格を持つ人材を派遣するには、制度の理解が欠かせません。派遣のメリットや注意点を踏まえ、ルールに沿って活用しましょう。

目次

外国人派遣とは?

出典:PIXTA

外国人の雇用形態には、正社員・アルバイト・派遣社員の3種類があります。正社員やアルバイトは企業と直接雇用契約を結ぶのに対し、派遣社員は派遣会社が雇用主となり、派遣先企業で働く形態です。

ここでは、派遣社員としての雇用について、仕組みや制度を確認していきます。

外国人派遣の概要

外国人派遣とは、日本国内の企業が外国人労働者を派遣会社を通じて雇用する仕組みです。企業の人材不足を補う手段として活用され、とくに製造業・介護・農業などでの需要が高まっています。

項目数値(令和4年10月時点)
外国人労働者数1,822,725人
外国人を雇用する事業所数298,790所
労働者派遣・請負事業に終了する外国人数350,383人(全体の19.2%)
※“厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ”参照

日本国内では、特定の在留資格を持つ外国人のみが派遣労働を行うことが認められています。

派遣労働の際には、労働基準法や労働者派遣法に基づいた適切な雇用管理が求められ、契約内容や雇用条件の確認が必要です。

外国人派遣を活用することで、人手不足を補いながら、企業の労働力確保を支援する役割を果たしています。

日本の労働市場における外国人派遣の役割

日本の労働市場では、深刻な人材不足の解消に向け、外国人の雇用が重要な役割を果たしています。しかし、雇用には在留資格の確認や就労ビザの申請、労務管理などの手続きが多く、一般企業にとって負担が大きいのが現状です。

そこで、派遣会社を利用することで、企業は煩雑な手続きを省略し、スムーズに外国人労働者を受け入れられます。派遣会社は、外国人雇用を支援する役割を担い、在留資格の確認や契約手続き、労務管理を代行することで、企業の負担を軽減します。

外国人派遣が可能な在留資格とは?

出典:PIXTA

外国人を派遣労働者として受け入れるには、適切な在留資格を持つ人材を採用することが不可欠です。すべての在留資格で派遣が認められているわけではなく、一部の資格のみ派遣労働が許可されています。

ここでは、派遣が可能な在留資格と、派遣が認められていない在留資格の違いを解説します。

派遣が認められる在留資格

派遣が認められている在留資格は、以下の通りです。

分類在留資格(ビザ)
就労系特定技能(農業・漁業のみ)
技術・人文知識・国際業務(技人国)
身分系永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等
その他留学生(資格外活動許可の範囲内)

就労系の在留資格は、業種や職種に応じた制限があるため、派遣の可否を事前に確認することが重要です。

一方、身分系の在留資格(永住者・定住者など)は職種の制限がなく、派遣労働にも柔軟に対応できます。

派遣が認められない在留資格

派遣が認められていない在留資格は、以下の通りです。

  • 技能実習生
  • 特定技能(農業・漁業以外)
  • 資格外活動許可のない留学生

技能実習制度は労働者の技能習得を目的としているため、派遣は禁止されています。また、特定技能のうち派遣が認められているのは農業・漁業分野のみです。

留学生も資格外活動許可がない場合は、派遣労働ができません。

外国人派遣会社の役割

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日本の深刻化する人手不足を解消するには、外国人雇用が必要不可欠です。一方で、外国人雇用に関する知識がなく、煩雑な手続きにより導入を諦めてしまう企業も少なくありません。

外国人派遣会社は、そのような企業が外国人労働者を雇用しやすいよう環境を整える役割を担っています。知識がなくても派遣会社を利用することで、人材不足の解消につなげることが可能です。

ここからは、外国人派遣会社の具体的な役割について詳しく解説します。

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在留資格の確認

派遣会社は、外国人労働者の在留資格を厳しくチェックし、適正な雇用をサポートします。不適切な在留資格での雇用は、企業に法的リスクをもたらし、事業運営にも影響を及ぼすため、慎重に確認することが重要です。

在留資格の更新管理や法改正への対応も派遣会社が行うため、企業は制度の変化を気にすることなく、外国人労働者を受け入れやすくなります。ただし、企業側も基本的な制度を把握しておくことも大切です。

外国人労働者の労務管理

派遣された外国人労働者が適切な環境で働けるよう、派遣会社は労務管理を徹底。給与の支払いや労働時間の管理、福利厚生の提供などは派遣会社が行い、安定した就労環境を提供します。

労務管理が不十分だと、労働問題が発生する可能性が高まるため、企業と派遣会社が連携し、継続的に管理を行うことが重要です。

就業サポート

派遣会社は、外国人労働者がスムーズに業務を行えるよう、研修や言語サポートを提供します。入職前の基礎研修に加え、入職後も継続的にフォローを行い、職場への適応を支援することが特徴です。

とくに、言語の壁は外国人労働者と企業双方の大きな課題ですが、派遣会社の専門スタッフがサポートすることで、業務上のコミュニケーションを円滑にします。仕事に関するスキル向上だけでなく、生活面での支援も行い、労働者の定着率向上に役立つでしょう。

法的サポート

派遣会社は、外国人労働者の受け入れに必要な法的サポートを適切に行い、企業が法令を遵守できるよう支援します。在留資格の確認や派遣契約の適正化、労働条件の管理などを徹底し、違法な雇用を未然に防ぎます。

ただし、企業側も外国人雇用に関する基本的な法律を把握し、派遣会社に任せきりにしない姿勢が重要です。派遣会社を選ぶ際は、法令を厳守している会社を選ぶことで、リスクを回避できます。

外国人派遣を利用するメリット

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外国人派遣を利用することで、企業は煩雑な手続きを省略し、即戦力となる人材を確保できます。具体的なメリットは以下の通りです。

書類の代行

外国人労働者を雇用する際には、在留資格の確認や就労ビザの申請、雇用契約の作成など、多くの手続きが必要です。書類の作成や手続きには専門知識が求められ、手続きのミスが企業のリスクにつながることもあるでしょう。

派遣会社を利用すれば、こうした手続きを代行してもらえるため、企業は採用業務に集中できます。また、申請ミスによるトラブルを防ぎ、適法に雇用できます。

即戦力の確保

派遣会社には、日本での就労経験がある外国人労働者や、特定のスキルを持つ人材が多く登録されています。すでに在留資格の確認や必要な手続きを終えているため、企業は採用時の負担を大幅に軽減できます。

また、直接採用と比べて入職までの期間が短縮されるため、人材を迅速に確保できるのも大きなメリットです。特に、人手不足が深刻な業種では、通常の採用活動よりも短期間で即戦力を確保できます。

ミスマッチ防止

外国人雇用では、業務内容や職場環境が合わず、早期離職につながるケースがあります。しかし、派遣会社は事前にスキルや経験、希望条件を確認し、マッチングを行うため、採用後のミスマッチ防止にも効果的です。

企業の業務内容や職場の文化に適応しやすい人材を選ぶことで、定着率の向上にもつながります。

外国人派遣会社を利用する際の注意点

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外国人派遣を活用する際には、派遣が禁止されている業種や、各種届出が必要になる点に注意が必要です。法令を遵守し、適切に手続きを行うことで、トラブルを防ぐことができます。

派遣が禁止されている業種の把握

外国人労働者の派遣が認められていない業種は以下の通りです。

【派遣雇用が禁止される業種】

●港湾運送業務
●建設業務
●警備業務
●病院等における医療関係の業務
●弁護士・税理士・社会保険労務士など
※“厚生労働省|労働者派遣事業を行うことができない業務”参照

建設業や警備業、港湾運送業、医療業務などは派遣が禁止されており、派遣契約を結ぶことはできません。

これらの業種で外国人労働者を雇用する場合は、直接雇用が原則となるため、企業側が在留資格や雇用契約を慎重に確認する必要があります。

外国人の雇入れや離職時の届出

外国人労働者を雇用や解雇した際は、企業がハローワークへ届出を行う義務があります。

●外国人雇用状況の届出
●派遣終了後の退職証明書発行

届出を怠ると、法令違反となり、罰則が科される可能性があるため注意が必要です。

届出事項の確認

届出には、在留資格や雇用条件、就労時間、雇用期間などの情報を正確に記載する必要があります。期限内に手続きを行わないと、行政指導の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

派遣会社と連携し、必要な情報を適切に把握した上で、期日までに確実に届出を完了させましょう。

職場内での理解

外国人労働者の受け入れには、職場内での理解を深めることが不可欠です。言語や文化の違いがあるため、受け入れ体制を整え、円滑なコミュニケーションが取れる環境を整えましょう。

社内研修や異文化理解の講習を実施することで、外国人労働者と日本人スタッフの相互理解を促進できます。また、多言語対応のマニュアルや、日常業務で活用できる翻訳ツールの導入も効果的です。

宗教的な礼拝スペースの確保や、食事に関する配慮が必要になるケースもあります。採用後に困ったことがあれば相談できる窓口を設置し、労働者が安心して働ける環境を整えることが大切です。

外国人派遣に関するよくある質問

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外国人派遣について、よく寄せられる質問をまとめました。派遣以外の働き方についても紹介しているので、外国人雇用を検討している企業はぜひ参考にしてください。

Q. 外国人は派遣可能ですか?

外国人の派遣は可能ですが、すべての在留資格で認められているわけではありません。永住者や定住者、日本人の配偶者などの身分系の在留資格を持つ人は、職種の制限がなく派遣が可能です。

特定技能の在留資格を持つ人も、一部の業種(農業や漁業)では派遣が認められています。技能実習生や資格外活動の許可がない留学生は派遣はできません。

Q. 外国人が日本で働きにくい理由は何ですか

外国人が、日本で働きにくいと感じる主な理由は以下の通りです。

  • 言語や文化の理解不足
  • 職場のコミュニケーションの問題
  • 過酷な労働環境
  • 賃金の不平等

このような働きにくさを埋めるため、派遣会社よりも人材紹介会社の利用が適している場合があります。

特定技能者を専門に紹介する「トクマド」では、就労開始までの通訳サポートや語学サポート、お部屋探しなどの支援が充実。「早期退職防止コミュニケーション」を専任スタッフが行い、日本での生活に関する不安や疑問にも寄り添います。

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外国人派遣を検討する際は就労ビザの確認が重要

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本記事では、外国人派遣の概要や日本の労働市場での役割、派遣が可能な在留資格について解説しました。外国人派遣を利用する際は、就労ビザの確認が欠かせません。派遣が認められる在留資格を把握し、違反を防ぐことが求められます。制度を正しく理解し、適切に活用しましょう。

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