建設業での外国人労働者の受け入れ方とは?採用のポイントを解説

建設業では深刻な人手不足と業務の効率化を図るために、外国人労働者を受け入れようか検討しているところもあるでしょう。しかし外国人労働者を受け入れるにあたって、採用のやり方で苦戦している方は少なくありません。本記事では、建設業での外国人労働者の受け入れ方のポイントについて解説します。

目次

建設業界での外国人労働者の受け入れ状況

日本で働く外国人の総数は、2021年時点で約172万人です。2014年では約79万人だったところ2倍以上の人数となっており、7年のうちにかなりの外国人労働者が増えました。(※)

飲食店や製造業などさまざまな業界で外国人労働者が増えていますが、建設業の場合は約11万人ほどで、全体の割合のうち6.4%です。ほかの業種と比べて割合は低いですが、外国人労働者が増えれば建設業でも多くの外国人が増えることが期待できるでしょう。(※)

※“厚生労働省 公式HP”参照

建設業で外国人労働者を受け入れるメリット

業務内容にもよりますが、建設業は多くの人手が必要とされています。とくに大きな建造物を建てるとなると、日本人ではカバーしきれない部分が出てくるかもしれません。

しかし建設業で外国人を受け入れることで、人手不足の解消や技術スタッフの増加などさまざまなメリットが得られます。場合によっては、さらなる作業の効率化にもつながりやすくなるでしょう。

人手不足の解消

建設業で外国人労働者を受け入れるメリットは、人手不足の解消につながりやすいところです。

実際に帝国データバンクが2023年に実施した人手不足に対する企業の動向調査によると、建設業での正社員の人手不足は増加傾向にあり、2021年4月では54.5%でしたが、2023年には65.3%となっています。(※)

慢性的に人手不足が続いてしまうと、スタッフ1人1人に対する業務負担が増えてしまうので外国人の力が必要でしょう。

※“帝国データバンク 公式HP”参照

技術スタッフの増加

建設業で外国人労働者を受け入れるメリットは、技術スタッフが増えることです。建設に関する知識や実務を持っている外国人はもちろんのこと、技能実習生のように未経験の外国人であっても成長度合いによっては即戦力として活躍してくれる可能性があります。

外国人の技術スタッフが成長すれば、業務効率化や作業スピードの向上などが期待できるでしょう。

業務のモチベーションアップ

外国人労働者にとって母国よりも日本の賃金が高い場合も多く、働くことに意欲的です。仕事に対する意欲的な姿勢は周囲にプラスの影響をもたらすため、自然と他のスタッフも仕事に対するモチベーションが上がりやすくなるでしょう。

建設業で外国人労働者を受け入れるデメリット

人手不足や生産力アップなどさまざまなメリットがある外国人労働者ですが、一方でデメリットもあります。とくに初めて建設現場で外国人労働者を雇った方だと、教育や指導などで苦労するかもしれません。

コミュニケーションが取りにくい

建設業に限らず外国人の受け入れで課題となるのが、コミュニケーションの取りにくさです。外国人によって意思疎通の取りやすさや会話のしやすさなど、日本語能力の度合いはまばらですが、スムーズにコミュニケーションを取れるのが理想でしょう。

しかし、日本語能力がかなり低いとスムーズに作業が進まなかったり、スタッフ同士でもめてしまったりというようなことが起こりやすくなります。さらに、建設業では危険を伴う作業もあるので、意思疎通の取りにくさが原因で思わぬ事故や怪我などに発展することも少なくありません。

安全に建設現場の作業を進めるためにも、ある程度日本語能力を習得している外国人を雇うようにしましょう。

育成に時間がかかる

外国人労働者を雇うデメリットは、育成に時間がかかるところです。実務経験豊富な外国人であれば問題ないですが、技能実習生のように建設業未経験の外国人を雇うとなると、重機の取り扱い方や仕事の流れなど一から仕事を教える必要があるでしょう。

人手に余裕があれば外国人の指導に労力を割くことは可能ですが、人手不足だとなかなか難しい課題です。

文化や慣習の違いでトラブルが起こる

外国人労働者を雇うにあたって、よくある悩みが文化や慣習の違いで生じるトラブルです。日本人が当たり前のようにしている仕事の取り組み方や慣習であっても、外国人にしてみれば不自然に感じることは珍しくありません。

外国人労働者と良好な関係を構築させるためには、お互いの文化や慣習の違いを理解することが重要です。もし、一方的に価値観や考え方などを押し付けてしまうと、お互いの認識の違いからトラブルを起こす可能性があります。

建設現場でトラブルを起こしてしまうと、作業効率の低下や事故などに発展しやすくなるので、安全かつスムーズに仕事を進めるためにも、お互いの文化や慣習の違いを理解しましょう。

建設業で外国人の雇用ができる在留資格

建設業で外国人の雇用ができる在留資格は以下の通りです。在留資格によっては似たような名称があるため、人によっては困惑する方がいるかもしれません。それぞれの在留資格では、何ができるのか見ていきましょう。

  • 特定技能(特定技能1号、特定技能2号)
  • 技能
  • 技能実習生
  • 資格外活動

特定技能(特定技能1号、特定技能2号)

特定技能とは、特定産業分野で外国人の人材を確保するための在留資格です。2019年4月に誕生したばかりの在留資格で、建設業はもちろんのこと、介護業や宿泊業、農業、漁業など12分野14業種で対応できます。

特定技能には、特定技能1号と2号の2種類の在留資格があるのがポイント。それぞれ資格の取得方法や在留期間、技能水準などが異なるため制度内容について理解する必要があります。

少しでも外国人に建設現場で長く活躍してほしい場合は、特定技能2号がおすすめです。特定技能1号と比較して受け入れ条件が寛容な部分があるため、外国人労働者に長く働いてもらえます。

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 最大5年間(ビザの更新は4か月、半年、1年間ごとに必要) 更新の上限なし(ビザの更新は半年、1年間、3年間ごとに必要)
分野の種類 12分野14業種 11分野
技能水準
・特定分野に対して相当レベルの知識や経験などを必要としている
・指導者の指示や監督を受けながら作業に従事できる

・特定産業分野に属する熟練した技能を用している
・複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し工程を管理できる
在留資格の試験 日本語能力試験、技能評価試験 基本的にはなし※2023年秋から建設などの一部分野で試験あり
外国人支援の必要性 必須
支援計画の策定が必要
なし
支援計画の策定や実施などは不要
家族帯同の可否 不可 条件を満たせば可能
永住権の取得 不可 条件を満たせば取得可能

技能

技能ビザは、産業上の特殊な分野で熟練した技能を持つ外国人が日本で就労するために活用する在留資格です。特定技能と似たようなイメージを持たれがちですが、技能ビザの場合は5〜10年以上の実務経験や高度なスキルなどレベルの高い仕事力が求められます。

しかし実務経験豊富な外国人を確保しやすいため、現場で即戦力として活躍してくれることが期待できるでしょう。

【建設業で技能ビザを雇う際の条件】

対象分野海外様式の建築物の建設・施工・組立
在留期間3ヵ月~5年
受け入れ条件・豊富な実務経験を積んでいる(10年以上)
・日本人と同等額以上の賃金を受け取れる
家族帯同あり

技能実習生

技能実習生は、日本の企業で技能や技術を身に着けながら働く在留資格。インドネシアやカンボジアなどの発展途上国を対象としており、受け入れ団体によっては中国やベトナムなどのアジアの国から技能実習生が集まってきます。

特定技能と混合しやすい技能実習生ですが、就労というよりは発展途上国への国際協力が目的です。日本で学んだ技能や知識などを母国に伝えることで、さらなる国の発展を促せられます。

もしかしたら技能実習生によっては、日本と母国の交流を深めてくれるかもしれません。

【特定技能と技能実習生の違い】

特定技能 技能実習生
在留資格 特定技能 技能実習
制度の目的
・企業の人手不足解消を目指す
・即戦力となる外国人労働者の人材確保を図る

・日本で学んだスキルや知識を母国に伝える
・国際社会に対する人材育成を図る
関係法令 技能実習法 出入国管理及び難民認定法
在留期間
特定技能1号:通算5年
特定技能2号:制限なし
1号:1年⇒2号:2年⇒3号:2年(通算5年)
受け入れ職種
特定技能1号:12分野14業種
特定技能2号:11分野
88職種161作業
技能水準 特定分野に対して相当レベルの知識や経験が必要 なし
入国時の試験
・特定技能1号:日本語能力試験、技能評価試験
・特定技能2号:基本的にはなし※2023年秋から建設などの一部分野で試験あり
なし※介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり
受け入れ方法
・自社HP、求人広告、SNSからの求人募集
・登録機関の委託

・監理団体や送り出し機関からの紹介
受け入れ機関の人数枠 なし 常勤職員の総数に応じた人数
家族帯同の可否 特定技能2号のみ条件を満たせば可能 不可
転職の可否 同一職種のみ可能 不可

資格外活動

資格外活動とは、上記のような在留資格に該当せず就労以外の目的で来日した外国人が持つ在留資格のこと。具体的には留学生や身分・地位に基づく在留資格を持っている外国人などが当てはまります。

上記で紹介した在留資格と比べて労働可能範囲は単純労働のみに限定されますが、雑務に手が回らない程の人手不足だと戦力として活躍してくれることが期待できるでしょう。

建設業で外国人労働者を受け入れるのに必要な書類

建設業で外国人労働者を受け入れる際、特定技能と外国人建設就労者の場合は「外国人建設就労者等建設現場入場届出書」と呼ばれる書類の提出が義務付けられています。その他の在留資格は、提出の必要はありません。

ただし、外国人を雇用するにあたって「外国人雇用状況届出書」「雇用契約書」「在留資格認定証明書交付申請書」などの手続きに必要な書類があるので忘れず準備しましょう。

必要な提出書類のチェックは、国土交通省の公式のガイドラインにて閲覧できます。もし提出書類や手続きについて不明な点があれば、専門家や外国人向けの人材紹介サービスに問い合わせしてみてください。

国土交通省 公式HP

建設業で外国人労働者を受け入れる際のポイント

初めて外国人労働者を雇うとなると、どのような点を押さえるべきなのか分からない方もいることでしょう。建設業で外国人労働者を受け入れる際は、以下の事を押さえることが重要です。

  • 在留資格を確認する
  • 教育体制を整える
  • 日本語能力をチェックする

在留資格を確認する

建設業で外国人労働者を受け入れる際は、必ず在留資格をチェックしましょう。在留資格によっては就労不可のものもあり、雇ってしまうと不法就労者を働かせたとして罰則を受ける可能性があります。

このような罰則は企業の信頼低下にもつながりやすくなるので、しっかり在留カードを確認し雇用して問題ないか調べましょう。

日本語能力をチェックする

建設現場では、スムーズに工事をこなすためにも従業員同士のコミュニケーションは欠かせません。そのため、雇用する外国人がどれくらいの日本語能力を持っているのかチェックする必要があります。

面接を通して質問に対する受け答えや話し方など、現場でのコミュニケーションのやり取りで問題がないかチェックしてみてください。より正確に日本語能力を知りたい場合は、日本語能力試験(JLPT)と呼ばれるテストを受けてもらうのがおすすめです。日本語の読み書きがどのくらいのレベルなのか図れるので、気になった方は活用してみてください。

日本語能力試験(JLPT)の詳細

教育体制を整える

外国人労働者を雇う際は、教育体制を整えることが重要です。特定技能や技能のように実務経験や知識などがある外国人であればスムーズに仕事を覚えてもらいやすいですが、技能実習生のように現場での経験が乏しい外国人だと指導に苦労するかもしれません。

しかし、指導者役のスタッフを付けたり、業務マニュアルを作成したりするなど工夫をすることで未経験の外国人でもスムーズに業務がこなしやすくなります。

もし現場での教育体制の管理が難しい場合は、人材紹介サービスの利用がおすすめです。サービスによっては日本語教育や研修、現場でのバックアップ体制などが整っているので活用してみてください。

建設業の外国人労働者の雇用で困ったら『キャリマ!』

もし、建設業で外国人労働者の受け入れに苦戦した場合は、『キャリマ!』がおすすめです。

『キャリマ!』は、外国人向けの人材紹介サービスで求職者の紹介はもちろんのこと、各種手続き、就労後の生活相談までフルサポートしてくれます。外国人採用制度に詳しいスタッフが手厚くサポートしてくれるので、初めて外国人従業員を雇う方におすすめです。

さらに、低コストでサービスを利用できるのもポイント。企業登録・求人情報の掲載や人材検索は無料となっているため、低コストで外国人労働者を探せます。気になった方は、ぜひ無料相談会から利用してみてください。

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建設業で外国人労働者を受け入れよう

本記事では、建設業での外国人労働者の受け入れ方のポイントについて解説しました。建設業で外国人労働者を受け入れることによって、人手不足の解消のみならず、業務効率化やモチベーションアップなどさまざまなメリットがあります。これから建設業で外国人労働者の受け入れを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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