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外国人ドライバーを雇用するには?特定技能「自動車運送業」についても解説
外国人ドライバーを雇用する際は、受け入れられる在留資格の確認や運転免許の取得が必要です。令和6年3月の閣議決定より、特定技能に「自動車運送業」を含む4つの分野が追加され、運送業における人手不足の解消が期待されています。本記事では、採用できるおすすめの在留資格から雇用するメリット、雇用する際の問題点についても解説。外国人ドライバーの雇用を検討している事業者の方は、参考にしてみてください。
運送業の人手不足の現状
国土交通省が発表する「物流を取り巻く現状と課題」(※1)のEC市場の宅配貨物の拡大を表す宅配便取扱実績の推移によると、2010年から2022年にかけて宅配便取扱実績は右肩上がりで上昇。さらに、2010年には約32億個であったところ、2022年では約50億個と約1.5倍も増加していることが確認できます。
公益社団法人 全日本トラック協会が発表する「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」(※2)によると、令和3年のトラック運送業に従事する就業者数のうちのドライバー等輸送・機械運転従事者数は約84万人です。この値は、平成24年から横ばいとなっています。
これらのデータから、物流業界ではEC市場の拡大により貨物量が増加している一方で、トラック運送業に従事するドライバー数は横ばいで推移。これより、EC市場の拡大によって、運送業における人手不足が深刻化し、運送業全体に負担がかかっていると考えられます。
※1:”国土交通省 公式HP”参照
※2:”公益社団法人 全日本トラック協会 公式HP”参照
外国人ドライバーとして受け入れる際のおすすめの在留資格
外国人ドライバーとして受け入れる際は、「身分系の在留資格」もしくは令和6年より新たに追加された「特定技能」がおすすめです。ここからは、これらの在留資格について詳しく解説していきます。
身分系の在留資格
外国人ドライバーとして受け入れる際におすすめな在留資格の1つ目は、身分系の在留資格です。身分系の在留資格とは、次の4つの身分や地位に応じた在留資格(※1)を指します。
・永住者
・定住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
身分系の在留資格は、日本国内での身分や地位に基づいて付与されるものになります。日本に一定期間滞在することを前提としているため、就労分野においても幅広い範囲で活動が可能で、日本での就労を制限されていない点が特徴です。
そのため、外国人ドライバーとしても採用可能。外国人ドライバーとして雇うには、運転免許の取得も必要です。ですが、永住者の在留資格を取得するために原則10年以上日本に在留することが条件となるため、身分系の中の永住者に該当する外国人は、既に運転免許を取得している場合も多いです。
在留期限も制限がないため、長期間働くことも可能。そのため、安定した人材の確保ができます。また、永住者のため日本の文化や日本語力といった外国人労働者との間に立ちはだかる壁が少ないこともメリットです。
令和5年の在留資格別の在留外国人の構成比(※2)では、永住者が最も多く全体の27.3%で約88万人ほどいます。
※1:”出入国在留管理庁 公式HP”参照
※2:”出入国在留管理庁 公式HP”参照
身分系と就労系の違い
就労系の在留資格とは、次のような在留資格(※)を指します。
外交 / 公用 / 教授 / 芸術 / 宗教 / 報道
高度専門職 / 経営・管理 / 法律・会計業務 / 医療 / 研究 / 教育 / 技術・人文知識・国際業務 / 企業内転勤 / 介護 / 興行 / 技能 / 特定技能 / 技能実習
身分系在留資格と就労系在留資格の違いは、就労における活動内容に制限があるかないかです。身分系在留資格は、日本に一定期間滞在することを前提としているため、就労分野では幅広い範囲でも活動が可能。
一方で就労系在留資格は、日本で特定の職業や業務に従事することを目的とするものです。それぞれの資格によって、従事する職業や業務内容が細かく分類されており、在留資格に応じた活動しか行うことができません。また、在留期間が定められており、更新手続きが必要です。
基本的に労働できない、身分系と就労系以外の在留資格(※)もあります。
文化活動 / 短期滞在 / 留学 / 研修 / 家族滞在 / 特定活動
※”出入国在留管理庁 公式HP”参照
特定技能
特定技能制度は、中小規模の事業者の人手不足が深刻化しており、経済や社会基盤に対する持続可能性が阻害される可能性が考えられることが背景となっています。背景により、生産性の向上や日本国内の人材確保の取り組みを行なっても人手不足である産業において、一定の専門性や技能を有した外国人材を受け入れる仕組みが創設されました。
特定技能制度には、2種類の在留資格があります。特定技能1号は、知識や経験を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、介護をはじめとする、宿泊や農業、外食業などの幅広い職種が対応しています。一方、特定技能2号は、熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格で、建設や自動車整備等の職種が対応しています。
※”厚生労働省 公式HP”参照
特定技能に「自動車運送業」を含む4つの分野が追加
閣議決定により、特定技能に「自動車運送業」を含む4つの分野が新たに追加されました。追加された4つの分野は次の通りです。
・自動車運送業分野
・鉄道分野
・林業分野
・木材産業分野
追加された新規分野は、特定技能1号のみで受け入れが可能。自動車運送業における5年間の受け入れ見込み数は、24,500人です。自動車運送業分野の詳細は、以下の通りです。
自動車運送業分野の詳細
業務内容
・バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者
技能試験
・自動車運送業分野特定技能1号評価試験
日本語試験
・N3またはN4以上
分野独自の要件
・運転免許の取得が必要
※”出入国在留管理庁 公式HP”参照
特定技能の対象分野の追加はいつから?
特定技能の対象分野は、令和6年3月29日より追加されました。
※”出入国在留管理庁 公式HP”参照
外国人ドライバーを雇用するメリット
外国人ドライバーを雇用することでドライバー不足が解消されるメリットがあります。ここからは、以下の外国人ドライバーを雇用するメリットについて詳しく解説していきます。
・人材確保によるドライバー不足の解消
・観光業への期待が高まる
人材確保によるドライバー不足の解消
「運送業の人手不足の現状」で取り上げたように、物流業界ではEC市場の拡大に伴って貨物量が増加しているにも関わらず、トラック運送業に従事するドライバー数は約10年間横ばいで推移しています。このように、現在の日本では運送業における人手不足が深刻化し、運送業全体に負担がかかっています。
そこで、日本人だけでなく外国人のドライバーを雇用することによって、運送業における人材確保が可能となり、ドライバー不足が解消できると期待されています。
外国人観光客へのサービス向上も期待できる
新たに追加された自動車運送業分野では、トラック運転手だけでなく、バス運転者やタクシー運転者の業務にも従事可能です。そのため、多言語対応ができるドライバーが増えることで、外国人観光客が日本でより快適に観光を楽しめます。
このように、外国人ドライバーの雇用によって、外国人観光客へのサービス向上にも期待できます。
外国人ドライバーを雇用する際の問題点
外国人ドライバーを雇用する際は、運転免許の取得が必要となるため、就労まで時間を要してしまうデメリットもあります。ここからは、以下の外国人ドライバーを雇用する問題点について解説していきます。
・大型免許や第二種免許は取得に時間を要す
・採用時の手続きが複雑
大型免許や第二種免許は取得に時間を要す
日本国内で自動車運送業として従事するためには、日本国内で有効な運転免許の取得が必要です。ここでは、母国で運転免許の取得経験がない外国人と母国で運転免許を取得している外国人に分けて、大型免許と第二種免許の取得方法について解説します。
母国で運転免許の取得経験がない外国人向けの大型免許 / 第二種免許の取得方法(※1)
受験条件
・21歳以上
・中型、準中型、普通、大型特殊免許のいずれかの運転免許を取得しており、かつ運転経歴が3年以上あること
日本で大型免許または第二種免許を取得するためには、普通免許や中型免許を取得しており、かつ運転経歴が3年以上必要となります。そのため、在留資格が特定技能1号では在留可能年数が最長5年となるため、免許取得後の約2年間しかドライバーとして従事できません。
母国で運転免許を取得している外国人向けの大型免許 / 第二種免許の取得方法(※2)
日本の運転免許へ切り替える条件
・有効な運転免許証
・運転免許を取得後に通算して3ヶ月以上取得した国に滞在していたことを確認できるもの
母国で運転免許を取得しており、その免許証が有効である場合に、運転免許証を発行した国に通算して3ヶ月以上滞在していたことを確認できる書類の提出などの条件を満たすことで申請できます。そのため、母国でトラックドライバーとして従事している外国人は、日本に来てからスムーズに働けます。
採用時の手続きが複雑
外国人ドライバーを雇用する際に、雇用の手続きが複雑で手間がかかってしまうことも問題点の1つです。日本人と外国人では、雇用時の手続きが異なり、初めての場合は手間がかかります。
外国人ドライバーを雇用する際は、在留資格の確認や手続きに必要な書類、就労の決まりなどをよく確認しましょう。
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外国人ドライバーを受け入れよう
外国人ドライバーとして採用できるおすすめの在留資格や雇用するメリット、雇用する際の問題点について解説しました。外国人ドライバーは、令和6年3月の閣議決定より特定技能に「自動車運送業」を含む4つの分野が追加されたことで、運送業における人手不足の解消が期待されています。しかし、日本国内で有効となる運転免許の取得が必要なことに注意が必要です。外国人ドライバーの受け入れを検討している事業者の方は、本記事を参考に外国人ドライバーの雇用について検討してみてください。