飲食店で外国人を雇用するメリットとは?採用のポイントを解説

多くの飲食店では、深刻な人手不足や非効率な業務などの問題で頭を抱えていることでしょう。少しでも生産力をアップさせたい場合は、外国人労働者を雇ってみるのがおすすめです。本記事では、飲食店で外国人を雇用するメリットについて解説します。さらに採用のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

飲食店で外国人を採用する流れと基礎情報

飲食店で外国人労働者を採用する流れは、日本人と基本的に同じ流れです。ただし在留カードの確認や在留資格の申請、外国人雇用状況届出など、日本人採用にはない手続きをする必要があります。飲食店で外国人を採用するフローについて、ご紹介します。

1. 求人募集

外国人労働者の求人募集は、自社ホームページや求人サイト、求人広告、ハローワーク、SNSなどさまざまなツールで可能です。低コストで求人をかけたい場合は、自社ホームページやSNSなどを活用してみるとよいでしょう。

もし、思うように求人が集まらない場合は、外国人専用の人材紹介サービスを利用するのがおすすめです。外国人採用を行っている人材会社によっては、人材紹介のみならず入国手続きや雇用の手続き、採用後のバックアップなどワンストップで対応してくれます。

2. 書類選考

書類選考は、日本人の時と同様に学歴や実務経験などをチェックすることはもちろんのこと、在留資格についてもチェックしましょう。外国人を雇う際は、在留資格が必要となり、資格内容によって携われる仕事が限られてくるので注意が必要です。

また、在留資格によっては就労不可のものもあるため、外国人を不当に働かせてしまうと就労不当として罰則を受ける可能性があります。

このようなトラブルを避けるためにも、書類選考の際は必ず在留カードをチェックしましょう。

3. 面接

面接を行う際は、学歴や実務経験、志望動機、来日理由など細かい情報を聞きましょう。日本人と同様に細かい情報を聞き出すことによって、飲食店でしっかり働いてくれるかどうか見極めやすくなります。

面接の際に押さえるべきポイントは、日本語能力です。飲食店は、顧客対応やスタッフとの連携などでコミュニケーション能力が重要となります。そのため、会話を通して問題がないか確認しましょう。

さらに、面接の際は、業務内容についてしっかり伝えることも必要です。業務内容が伝わっていないと、後々ミスマッチを起こすリスクがあります。外国人に長く働いてもらうためにも、業務内容を伝えて問題がないかチェックしてみてください。

4. 雇用契約締結

外国人を採用した後は、雇用契約の手続きに進みましょう。日本人と同様に雇用契約書を使った締結方法で問題ありません。外国人によっては日本語に慣れていない方もいるので、母国語バージョンでの雇用契約書を用意すると親切です。

契約書を通して業務内容について問題がないか、お互いに確認しましょう。

5. 在留資格の申請

雇用契約締結の手続きが済んだら、在留資格の申請に進みましょう。国内在住者と国外在住者とでは在留資格の申請方法が異なるので注意が必要です。

国内在住者の場合は、「在留資格変更許可申請」または「在留期間更新許可申請」を出入国在留管理庁に提出します。すでに在留資格を持っている方でも、種類によっては変更が必要になるので注意が必要です。

在留資格の審査は約1〜3ヵ月かかるといわれているので、雇用が決定した場合は早めに手続きを済ませるのが望ましいでしょう。

一方で国外から雇用する場合は、「在留資格認定証明書交付申請」の手続きをします。手続きの流れは現地の外国人に在留資格認定証明書を日本に送ってもらい、パスポートや必要書類と一緒に在外日本国大使館にて審査を受けるというような形です。

もし、在留資格の手続きについて不明な点があれば、外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせてみてください。

6. 雇用の手続き

在留資格の手続きが済んだら、雇用の手続きを進めましょう。労働保険・社会保険への加入は日本人と変わりませんが、外国人の場合は外国人雇用状況届出が必要です。

「雇用する外国人の国籍・地域」「在留資格」「在留期間」など必要な項目を記入し、外国人雇用状況届出書をハローワークに提出しましょう。外国人雇用状況届出書は、雇用した日の翌月10日までの提出が義務付けられているので、提出期限には注意してください。

飲食店で雇用できる外国人の在留資格の種類

飲食店で雇用できる外国人の在留資格は、29種類中10種類です。意外にも飲食店にも対応できる在留資格はたくさんあり、雇用のやり方次第では業務分担が図れます。

特に、以下の在留資格であれば飲食店で雇用することが可能なので、要チェックです。

  • 技術・人文知識・国際業務:経理・会計担当者、企画・企業法務従事者、マーケティングなど
  • 技能:食品関連の製造または調理
  • 特定技能:外食業
  • 特定活動:外交官等の家事使用人,ワーキングホリデーなど※
  • 永住者:永住許可を受けている
  • 日本人の配偶者等:日本人の配偶者・実子・特別養子
  • 永住者の配偶者等:永住者・特別永住者の配偶、我が国で出生し引き続き在留している実子
  • 定住者:日系3世、外国人配偶者の連れ子等
  • 留学:大学、専門学校、日本語学校等の学生
  • 家族滞在:就労資格等で在留する外国人の配偶者、子

技術・人文知識・国際業務

一見飲食とは関係なさそうい見える「技術・人文知識・国際業務」ですが、実は外食業でも役立つ部分はあります。

例えば、マーケティングの部分で飲食店の売上を上げる仕組み作りをしたり、会計の部分で店舗の資金管理を徹底したり、フランチャイズ経営の店舗であればエリアマネージャーとして活躍できたりとさまざまな部分で業務に従事することが可能です。

店舗業務よりは本社業務がメインとなるので、会社の成長を外国人に任せたい方はチェックしてみてください。

技能

技能関連の在留資格では、食品製造関連の資格が調理に役立ちます。特に、外国で料理の調理経験がある方は即戦力として期待できるでしょう。

ただし、技能関連の在留資格では、外国料理が前提となっているため、日本料理を取り扱っている店舗は雇用することはできません。

もし、外国人の料理人を雇う方は、取り扱っている料理に対応可能かどうか注意しましょう。

特定技能

特定技能は外食業に関する在留資格があり、雇用することが可能です。先ほど紹介した技能の部分で似ている部分はありますが、特定技能の場合は資格取得をするにあたって、調理のみならず食品に関する専門知識や日本語能力、接客力などさまざまなスキルが求められます。

技能と比較して対応可能な業務は幅広いので、調理や接客、配膳などさまざまな部分で対応できれば即戦力として活躍してくれるでしょう。ただし、特定技能の場合は1号と2号で、制度内容や制約が異なるため注意が必要です。もし外国人に長く働いてもらいたい場合は特定技能2号を取得している外国人を雇った方がよいでしょう。

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 最大5年間(ビザの更新は4か月、半年、1年間ごとに必要) 更新の上限なし(ビザの更新は半年、1年間、3年間ごとに必要)
分野の種類 12分野14業種 11分野
技能水準
・特定分野に対して相当レベルの知識や経験などを必要としている

・特定産業分野に属する熟練した技能を用している
日本語能力の水準試験の有無 あり なし
外国人支援の必要性 必須
支援計画の策定が必要
なし
支援計画の策定や実施などは不要
家族帯同の可否 不可 条件を満たせば可能
永住権の取得 不可 条件を満たせば取得可能

特定活動

特定活動の外国人は49号までありますが、種類によっては飲食店の雇用が可能です。特に、特定活動5号(ワーキングホリデー)と46号(4年制大学又は大学院の卒業生でN1以上の日本語力を有する者)の2種類は飲食店での業務ができます。

特定活動46号の場合は正社員雇用も可能なので、即戦力として正社員を探している方はおすすめです。

身分・地位に基づく在留資格

永住者、日本の配偶者等、定住者、永住者の配偶者等の4つの在留資格は身分・地位に基づく在留資格に該当します。これら4つの在留資格は活動制限なしの資格となるため、正社員とアルバイトの両方で飲食店の従業員として雇うことが可能です。

外国人によっては日本に長期間滞在している方もいるので、経験豊富な方であれば即戦力として活躍する期待が持てるでしょう。

留学・家族滞在

留学・家族滞在の在留資格は基本的には就労不可となっていますが、資格外活動許可を受けている場合はアルバイトとして雇用することが可能です。ただし、在留資格によっては、1週間に28時間以内の労働時間の制限を受けているものもあるので雇用する際は注意しましょう。

飲食店で外国人を雇用するメリット

飲食店で外国人を雇用するメリットは、人手不足の解消や外国人顧客の増加などさまざまなメリットがあります。飲食に関して経験豊富な外国人が入ってきた場合は、即戦力として活躍してくれる期待が持てるでしょう。

人手不足の解消につながりやすい

飲食店で外国人を雇うメリットは、人手不足の解消につながりやすいところです。

飲食店によっては深刻な人手不足で長時間労働や非効率な業務による生産力低下など、さまざまな問題を抱えています。

実際に帝国データバンクが2023年に実施した人手不足に対する企業の動向調査によると飲食店業界では、正社員の場合は27.6%から61.3%、非正社員の場合は50.0%から85.2%と人手不足の割合が3年で急増したことが明らかになりました。(※)

このようなデータから飲食店業界では深刻な人手不足に陥っているため、外国人の労働力が必要でしょう。

2021年4月 2022年4月 2023年4月
正社員 27.6% 56.9% 61.3%
非正社員 50.0% 77.3% 85.2%

帝国データバンク 公式HP”参照

外国人顧客の接客がスムーズになる

飲食店で外国人を雇うメリットは、外国人顧客の接客がスムーズになることです。地域によってはインバウンドの増加に伴い、多くの外国人が訪れる飲食店があるでしょう。しかし、外国語に苦手意識を持っているスタッフの中には、外国人顧客とうまくコミュニケーションが取れず接客に苦労する方は少なくありません。

よりスムーズに外国人の接客対応をするためには、外国人の力が欠かせません。外国人によっては多言語を習得している方もいるので、柔軟なコミュニケーションが可能となります。

売上アップが図りやすい

飲食店で外国人を雇うメリットは、売上アップが図りやすくなるところです。先ほど紹介した通り外国人スタッフを雇うことによって、外国人の顧客対応がスムーズに進みやすくなり質の高いサービス提供が可能になります。

外国人顧客が飲食店に対して好印象を持ってもらえれば、リピーターとして再び来店してくれる可能性が上がりやすくなるでしょう。

スタッフのモチベーションが上がりやすくなる

日本に訪れる外国人は、仕事に対して熱心に取り組んでくれる方がほとんどです。外国人の中には日本で技術力やスキルを磨きたいと考えている方もいるので、仕事に対して勤勉な態度で臨んでいる姿は、周囲にプラスの影響を与えてくれます。

仕事に対する熱意がスタッフに伝われば、生産力アップや売上アップなど、さまざまな面でプラスに働くことが期待できるでしょう。

飲食店で外国人を雇用するデメリット

飲食店で外国人を雇用することで、人手不足の解消や売上アップなどさまざまなメリットがある一方、いくつかデメリットもあります。外国人の雇用の仕方次第では、もしかしたら思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。

コミュニケーションが取りにくい

ある程度の日本語能力を習得しているとはいえ、出身国ごとに言語スキルはまばらです。日本人と同様にペラペラ話せる方もいれば、会話のペースがおぼつかない方もいます。飲食店ではスタッフの会話はもちろんのこと顧客との対話も重要になるので、日本語能力に少し問題があると思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。

採用後にトラブルを起こさないためにも、どれくらいの日本語能力なのかしっかり確認することが必要。さらに業務をスムーズに進めるためにも、外国人のコミュニケーションスキルの度合いについてスタッフ同士で共有しましょう。

文化や習慣の違いで困惑する

当然ながら、日本人と外国人とでは文化や習慣などは異なります。日本人が当たり前にしているような習慣であっても、外国人からしてみると理解に乏しい部分が出てくるかもしれません。

外国人スタッフと良好な関係を構築するためには、お互いの文化や習慣、価値観などが異なることを理解することが重要です。お互いの価値観が違うことを認識するだけでも、仕事がスムーズに進むかどうか違ってくるので、文化や習慣の違いを理解しましょう。

雇用手続きの負担がかかる

外国人労働者は、在留資格の申請や外国人雇用状況届出など何かと雇用手続きで手間がかかります。とくに初めて外国人労働者を雇う方だと、手続きの仕方が分からず困惑してしまうかもしれません。

もし、手続きの仕方で分からない部分があれば、外国人の雇用に関わる人材紹介会社に相談してみてください。

飲食店で外国人を雇用する際のポイントと注意点

飲食店で外国人を雇用する際は、いくつか注意しなければならないポイントがあります。誤った方法で外国人を雇ってしまうと、思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。飲食店で外国人を雇う際は、どのようなポイントを押さえるべきなのか解説します。

在留資格をチェックする

外国人労働者を雇う際は、在留資格をチェックしましょう。在留資格によって従事できる業務が異なっているため、知らずに採用してしまうと思わぬトラブルを起こしてしまう場合があります。

外国人の雇用で失敗しないためには、必要な役職を把握した上で採用したい人を把握することが重要です。例えばキッチン調理が得意な人を雇いたい場合は調理関連の技能を持っているスタッフ、業務全般を対応してもらいたい場合は特定技能というようにしっかり整理しましょう。

複数のメディアを使って募集をかける

スムーズに求人募集を行いたい場合は、複数のメディアを使って募集をかけるのがおすすめです。1つの媒体でも雇用することは可能ですが、ツールによっては全く人が集まらない事もあります。

公式HPや求人広告、SNS、など複数のツールを活用することで、外国人が集まりやすくなります。もし思うように外国人が集まらない場合は、人材紹介サービスを活用してみてください。

就労時間の制限に注意する

実は在留資格の中には、就労時間が限られているものがあります。例えば留学の在留資格を持っている外国人は、労働時間は原則として1週間28時間以内、就学の在留資格を持っている外国人は原則1日4時間と定められています。

労働時間を超過させてしまうと罰則を受ける可能性があるので、就労時間内に収まるようシフト調整をしましょう。

日本語能力をチェックする

飲食店で外国人労働者を雇う際は、日本語能力をチェックしましょう。飲食業はコミュニケーション能力が問われる仕事でもあるため、日本語能力が乏しいと業務に支障をきたす可能性があります。

しかし面接の段階でどれくらいの日本語能力を持っているのか判断が難しい方もいることでしょう。

より正確に日本語能力を知りたい場合は、日本語能力試験(JLPT)と呼ばれるテストを受けてもらうのがおすすめです。外国人採用に関して、日本語能力に不安がある方は、ぜひチェックしてみてください。

日本語能力試験(JLPT)の詳細

サポート体制を整える

外国人に長期で働いてもらうためには、業務のサポート体制を整えることが必要です。例えば、外国人向けの業務マニュアルを作成したり、スタッフが丁寧に指導したり、困ったときにはすぐに助けたりするなど、サポート体制を整えることが重要です。サポート体制を整えることで、外国人労働者は働きやすくなります。

サポート次第では一戦力として外国人が活躍してくれる可能性があるので、しっかりフォローしましょう。

飲食店で外国人の雇用に苦労したら『キャリマ!』

もし、飲食店での外国人の雇用で苦戦した場合は、『キャリマ!』がおすすめです。『キャリマ!』は、外国人求職者を紹介しているサービスで、外国人採用制度に詳しいスタッフが全力でサポートしてくれます。海外人財のデータベースに則って人材紹介をしてくれるので、スムーズに外国人の人材を集めたい方におすすめです。

さらに、求人募集のみならず、採用後の各種手続きや就労後の生活相談などもトータルでサポート。手厚い雇用サポートが整っているため、初めて外国人採用をする方にもぴったりです。無料から利用できるので、気になった方は相談してみてください。

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飲食店で外国人労働者を雇ってみよう

本記事では、飲食店で外国人を雇用するメリットを解説しました。飲食店で外国人労働者を雇うことによって人手不足の解消や外国人顧客の増加、売上アップなどさまざまなメリットが得られやすくなります。少しでも飲食店を繁盛させたい方は、ぜひ外国人労働者の受け入れを検討してみてください。

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